あつい。あついあついあつい。どれくらい暑いかっていうと、大好きなあまいあまいチョコレートアイスが「いただきます」をする前に「さようなら」してしまっているくらいあつい。こんな暑い日は家でクーラーをがんがんかかけて、もうチョコレートアイスじゃなくてあまい苺味のシロップをたっぷりかけたカキ氷を一気食いしたい。あの頭にキーンとくるのがたまらない。なのにあたしはこの炎天下に、もうかれこれ3時間くらいいる気がする。汗でべとべとして気持ち悪いし、日焼け止めも落ちて肌が赤くなっている。きっと明日は全身真っ黒だなあ、やだなあ、と思いながらもあたしはここを動けないでいる。あついのに、早く帰りたいのに、日焼けだってしたくないのに、なぜだかあたしの足はちっとも動いてくれない。昨日、国のはずれで見つかったナルトが埋まったお墓の前からまるで動いてくれない。どうしてだか分からない。どうして足が動かないのかも分からないし、どうしてナルトがこんなところに埋まっているのかも分からない。 そうだ、あたしは待ってるんだった。ナルトが出てくるのを待ってるんだった。1日中埋まってたらきっとお腹がすいてひょっこり出てくるだろうから、そうしたら一緒に帰ろうと思って待ってるんだった。早く出てこないかな。土の中は涼しくて居心地がいいんだろうか。あたしがこんなにあつい思いをして待ってるのに酷い奴だな、もう。木陰に行こうかな。あ、でも足が動かないんだっけ。どうして動かないんだっけ。その前にどうしてナルトは埋まってるんだっけ。 記憶を辿って、脳裏に浮かんできたのは血まみれのナルト、涙をこぼすみんな、窮屈そうな箱にいれらていくナルト、黒い喪服を着たみんな、冷たい土の中に埋まっていくナルト、花を手向けていくみんな。墓標の前でうずくまっているあた、し・・・? 「・・・ ・・・ ・・・ あ、」
あつい。あついあつい。辺りは真っ暗なのに、お日様なんてとっくにさよならしたのに、あつさはちっとも変わっていない。あたしは相変わらず動けないでいて、相変わらずナルトが出てくるのを待っていた。雨なんか降っていないのに、地面に小さな水溜りができているのは、多分あたしが泣いているからだと思う。 ふと、 通りかかったシカマルが悲しいような切ないようなへんな顔をしてあたしを見ていたのを思い出した。 |
ひ
と つ く だ さ い ! |
ス
マ イ ル
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